若手社員お悩み相談所 第18回
さて、先週に引き続き『具体的に指示できない人は仕事ができない』お話の続きをいたしましょうか。
先週例に挙げたのは「売上を伸ばせ」というお話。
しかし、単純に「売上を伸ばせ」といっても原因は様々。競合製品の影響か、自社製品の魅力が薄れてきたのか…。
まずはそういった現状分析を冷徹に行なわなきゃいけない…ってことでしたよね。
そうそう。
そして現状分析が終わったら具体策の提案です。
もし自社製品の魅力が薄れてきたことが原因なのだとしたら、それに変わる新製品を作らなければなりません。
えっ!? いやいや、ちょっと社長~! サラッと『新製品』なんて言いますけどね、新製品は「じゃあ新製品作ってくれる?」「よしきた!」なんて簡単に作れるものじゃないんですよ~!?
な~に言ってるんですか。
営業が現場サイドに気合をかけないでどうするんです?
いや~、だって「営業努力もしないで、売れない責任を現場のせいにすんじゃねー!」とか言われちゃいそうじゃないですか~。正直気が進みませ~ん…。
ずいぶん弱気ですねぇ。
まぁそれが事実なのだとしたら、現場にそう言われることは仕方ないんじゃないですか? 言われておけばいいですよ。
で、次は新製品の具体的なプランを考えるわけですが…。
話の展開早いなぁ。…っていうか新製品のプランを考える!? 俺がですか!? いや、俺はそういうアイディアを考えつく頭は…ちょっと持ち合わせていないもんで…。はは…。
自分が考えつかなければ、考えてくれる人を探すのです。
どんどん周囲を引っ張り込むんですよ。
…みんな自分の仕事で手一杯で、とても協力してくれる余裕なんてないと思いますけど…。
全社員に聞いて廻ったのですか? 先回りして、自分の中だけで結論づけてはいけませんよ。行動を起こさないための言い訳に聞こえてしまいます。
それに、会社の売上低迷の原因が本当に自社製品の魅力低下に起因しているならば、大方の社員は心の中で同じことを思っているはずです。色々な人に聞いて廻れば、協力してくれる人もいるかもしれません。
そうして新製品のアイディアが練れたら、次は製造にゴーサインを出してもらわないといけませんね。
…と言っても、新製品の提案書を直接社長に出すわけにはいかないですよね。まずは課長、それから部長、担当役員…。
考えただけでも、とても社長にまで辿り着くとは思えないんですけど。
まぁ、実際はそうでしょうねぇ…。
でも、そこまでやれれば立派なもんですよ。いい経験だと思います。
「売上を伸ばせ」という具体策のない課題に対して、あなたは担当者としての責任を十分に果たしたと言えます。
う~ん、まぁそうなんですけど~…。でもそこまで頑張ったなら、逆に何としてでもトップまで話がいって欲しいと思いますね!
おやおや、あなたもへそ曲がりですねぇ。
まぁでも、やる気になったのでしたら「責任は自分が持つ」と大見得を切って、トップにまで話を通してもらうことです。
せ…責任ですか…。責任を取れと言われたら、どう取ればいいんでしょう…。
あらら、もう失敗したときの心配ですか?
まぁいいでしょう。今回のテーマは『具体的に指示できない人は仕事ができない』ですからね。どんどん具体的にお答えしますよ。
「責任を取れ」と言われたら、「責任を取って辞めます」と言えばいいんです。
え~!? それじゃ困りますよ~! だって辞めたくないですも~ん。
う~ん、唸りますねぇ。
じゃあ「責任を取って坊主にします」というのはどうでしょう?
…ちょっと小言社長、人ごとだと思っていい加減にアドバイスしてるでしょ。
そんなことないですよ?
私だったら「責任を取って辞める必要はない」とハッキリ言ってあげますもの。社員が責任を取ると言ったって、お金で解決できるわけでもなし。
要は「責任を取る」という気合のひと言があるかないか、そういう問題ですよ。トップたる者、そこまで仕事をやった人間を手放すはずがないと思います。
はぁ、そうですか…。でも、やはり『責任』の2文字は重いものがありますね。
そうですね。
今この『責任』という2文字の使われる頻度がめっきり少なくなっていますから、より重く感じるのかもしれません。
かといって『責任』の連発、大安売りでも値打ちがなくなってしまいますけどね、痛し痒しです。
なるほど~…。いやぁ、なんか色々と具体的に教えていただき、ありがとうございました。
具体的な指示をしなくてはいけない、してもらえない…。そういうケースはたくさん、それこそ無限の状況があると言っていいと思います。今回お話ししたのは、その中のごく一部です。具体的な指示については、おいおい、また話す機会があるでしょう。
最後に、具体的な指示が欲しいなと思ったときは、ちょっと思い出してみてください。『具体的な指示ができない人は仕事ができない』、具体的な指示をしてくれない人をいつまでも頼りにしていても埒があかないということです。
自分で道を切り開かなければなりません。しかしそれは、自分で道を切り開くチャンスでもあります。
あなたの、そしてあなたのご友人のご健闘をお祈りしていますよ。
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