若手社員お悩み相談所 第7回
先週、仕事を面白くするためにはまず何よりも「仕事を面白い」と思う心持ちが大切だとお話ししましたね。
また、仕事から逃げるのではなく積極的に追いかけていくことも大事であるとお伝えしましたが…。
どうでしょう、皆さんは仕事から逃げてしまうことがありますか?
ありません!! …と言いたいところですが、いまだにクレーム処理だけは嫌なんですよねぇ…。クレームの原因なんてすぐにはわからないし、でもお客様の方は鬼の形相で事態究明迫ってくるし…。
ああ、思い出すだけで嫌だなぁ。こればっかりは、いつも逃げ出したくなります~。
はは、確かにクレームは誰だって腰が引けてしまいますよね。もちろん、私だってうろたえます。
でもねぇ、これが経験を重ねてくると、お客様の怒りが沸騰すればするほど逆に冷静になる自分を感じるようになるんですよ。
責任を取る立場にいる自分が、自身の手で解決するほかにこの場から解放される術がないことを悟るんですね。
えぇ~!! 無理です無理! そんなに冷静になれる自信なんて全くありません~!!
いやいや、私にだってなれたんです。
あなたがなれる可能性は十二分にあると思いますよ。
クレームの際に忘れてはいけないことは「お客様と同じ立場で自分の会社を怒ること」です。
えっ、そんなことしたら自分の会社と敵対しちゃってマズイんじゃないですか? 自分の会社が不利にならないよう擁護しないと…。
クレームに対して防御姿勢になってしまう気持ちはわかりますが、それでは事態がなかなか打開できないんですよ。
何せ、それではクレームをつけているお客様と相対したままで、全く距離が縮まってくれませんからね。
お客様と一緒に自分の会社を怒ることで、お客様の立場に立つことができる。そうすればお客様との距離も縮まり、自分の会社の悪かった点を客観的に見ることができるんですよ。
ほほう…。でもなぁ、そんなにうまくいくもんなんですかねぇ?
まぁ必ずうまくいくと豪語するだけの自信はありませんけども…。でも私の経験から、このスタンスを取ることによって、かなり円滑にクレームを処理できるようになったと思っています。
クレーム処理は嫌なものですが、お客様の怒りが収まって現状の打開策・改善策が見えてきたときの快感は何とも言えません。
クレーム処理は失敗すれば自分にとっても会社にとっても大打撃になるピンチの場面ですが、成功すればクレームで怒り狂っていたお客様が自社の大ファンになってくれることだってあるんです。
本当に? そんなことあるんですか?
自分がクレームをつける立場になって考えてみてください。
自分がつけたクレームに対して言い訳ばかりで具体的に改善してくれない相手より、自分のクレームを真摯に受け止め一緒に怒ってまでくれて、さらに改善に向けた努力を見せ、それを実践してくれる相手の方が断然信用できると思いませんか?
そりゃあ確かに…。
ビジネスにおいて信頼関係というのはとても大事なものです。たとえ失敗してもその後の対応がしっかりしている相手になら信頼して仕事を頼めますからね。
クレーム処理とはまさにこの「信頼」を試されている試験の場とも言えます。クレームの対応次第でお客様を失うことになるかもしれない。でも逆に信頼という大きなものを得るチャンスになるかもしれない。
だから、クレーム処理次第ではお客様が自分達の大ファンになってくれるかもしれないのです。
まさに「ピンチをチャンスに変える」ですよね。いやぁ、こんなときの仕事の醍醐味は是非経験してもらいたいですねぇ。やみつきになりますよ。
あ。でもお客様との関係は良くなったかもしれませんが、会社との関係が悪くなったりはしませんか? だって会社と敵対しちゃったんですよ?
ははは。会社と敵対したって結局はクレームを解決したんですから、非難されるようなことは何もありませんよ。
ときには現場の仕事の進め方・環境まで変えてしまうようなこともあり、そんなときはさすがに現場の人から非難轟々いただくこともありますけどね。
それでも、会社にクレームがつかないような良い製品を作るために全力を注ごうということを、一体誰が非難できるでしょう。会社が儲けるための最善策を講じるのだという基本を外さなければ、恐れることはありませんよ。
そっかぁ。でもクレーム処理って原因究明…つまり犯人探しから始まるじゃないですか。それも気が重いんですよね。社内の人間を責めると、その後の人間関係がやりづらくなるし…。
まぁ確かにその気持ちはわかりますが、でも誰かがやらなければいけない仕事ですからね。
嫌われることに慣れることも、ビジネスマンとしてはこれから必要な資質になるのかもしれません。
うっ…。そうなんですけど、そうなんですけど! でもなぁ…。
ここでも先週お話しした「仕事を面白い」と思う気持ちが大事になるのではないでしょうか。
例えばこの「問題の原因究明」は確かに気が重くなる仕事ですが、言い訳、すっとぼけ、ときに隠蔽まで、色々な人間模様を見ることができて下手な推理小説を読むよりはるかにスリリングな経験ができるかもしれません。お客様の怒りだって、うまく収めれば自社のファンになってもらえる大チャンスです。
逃げたくなるくらい気が重いクレーム処理だって、考え方次第によってはこれ以上ない醍醐味になりますよ。そうなれば、仕事はずっと面白くなるでしょうね。
そっかぁ。クレーム処理にもそんな考え方があるのかぁ…。そう思うと、少しヤル気が出ますね。まだ腰は引けるけど、「やってやるー!」って気持ちになります。
そうですよ。考え方ひとつで仕事は面白くも苦痛にもなります。
それなら面白くやった方がいいじゃないですか。
何せこれからの社会人生活では、仕事をしている時間が一番長いんですからね。
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