若手社員お悩み相談所 第4回
さて先週は、真に懲りるためには怒られることが必要である。しかし最近はこの「怒り、怒られる」がうまく機能していない、というお話をしました。
今週は引き続き「怒り、怒られることの効用」というお話を続けましょう。
いやぁ~。でもまさか、そんなに先輩や上司が僕らに対して怒りづらさというか、コミュニケーションの取りづらさを感じていたなんて思ってなかったなぁ。
上司たちおじさん世代と若い世代のコミュニケーションの溝は、企業のこれからの大きな課題になってくるでしょうね。
しかし、ただコミュニケーションができない、怒ってもわかってもらえない、と嘆いているばかりでは教育も仕事もできません。
私たちのノウハウやビジネスマンとしてのあり方など、教えなくてはいけないことは山ほどあるのです。従来の方法が通用しないのなら、新しくどう伝えていくのかを私たちは模索していかなければなりません。
このように、上司が部下の教育を自分の責任だと思って頑張っているんだから、部下の方だっていつまでも新入社員と同じ気持ちで「誰かが助けてくれる」とか「誰かが教えてくれる」なんて「待ち」の姿勢だけじゃダメだと思うんだよ。
ただ「怒られた」と感じるだけじゃなく、「どうして怒られたのか」という本質を自分で見極めるよう努力しないといけないと思うんだ。
…そうやって、どんなことも自分で考え判断するようにして、ゆくゆくは仕事の判断だって自分でできるようにならないといけないわけですもんね。
そう。そしてそのためには、自分から勉強をしなくちゃいけないわよね。
その勉強には、当然失敗からの学習も含まれるわけ。失敗をしたら二度と同じことをしないように懲りなきゃいけないって話は何度もしたけど、懲りるためには、とにかく上司の怒りや注意をちゃんと聞くことだと思うのよ。
確かに、怒り下手な人はいます。中には八つ当たりのような悪質な怒りにさらされている人もいるかもしれません。
でも大半の怒りの本質は、間違ったことを正そうという姿勢からのはずです。皆さんにはたくさん怒られて、たくさん懲りてもらわなくてはいけません。
しかし、決してそれを「人格や存在そのものの否定」などと悲観的に捉えず、なぜ怒られたのか、その本質を捉えるようにして欲しいと思うのです。
う~ん、「怒られる」ということに対して、受身の姿勢でこっちが望むばっかりじゃダメってことかぁ。
例えば「愛を持って怒って欲しい」って言うことは、それ自体が他人に甘えたような物言いだもんな。愛を持って怒って欲しいと思うなら、自分で上司や先輩の怒りの中に愛を感じるようにしないといけないってことか?
ははは。それはどうでしょう。でも、その捉え方はいいですね。
皆さんにはこのような心持ちで、怒られることの本質をいつも考えるようにして欲しいと思います。
怒られて心の底から懲りて、同じ失敗を二度しないようにすれば、必然的にどんどんスキルアップができる、ということですからね。
はぁ…。なるほど…。
ただ一方で、怒られるのが嫌だからと「じゃあ最初から余計なことをしなければいい」「余計なことを言わなければいい」と、消極的になってしまう人もいます。
こうなると、自分で考えるどころか自分から動こうとしない社員です。経営者としては、このような社員にはなって欲しくありません。
「怒り、怒られる」はうまく作用しないと、このような悪いケースに陥るという不安もあります。
それと一番困るのが、怒られるのが嫌だからと、事故や問題などの悪い情報すら抱えこんでしまうこと。
確かにその場はしのげるかもしれないけれど、そんなものいつまでも隠し通せるものではないし、むしろ解決しないまま放置していた分、発覚したときには取り返しがつかないほど問題が大きくなっていることだってあるからね~。
その場その場の「怒られるのが嫌だ」という感情に任せて逃げ続けたところで、最後まで逃げおおせることなんてできません。そんなものは幼い逃避です。
先も述べた通り、怒られることは決してマイナス的なものではありません。いわばステップアップのためのプロセスのひとつです。
避けようと思うのではなく、自分を高めるための学習のひとつであると考えてみてはいかがでしょう。
プロセスのひとつ? どういう意味ですか?
「怒られて懲りること」、そうすれば同じ失敗を繰り返さないとは先週からお話ししている内容ですが、加えて「怒られて懲りて同じ失敗をしないこと」、これを繰り返していくことができれば、どんどん失敗自体が減るということになりますよね。つまりこれが、経験であり学習なのです。
要するに、怒られることは自身のステップアップのための経験・学習のひとつである、ということですよ。
そのような境地で仕事をすることができれば、いざ怒られるときも案外割り切って話を聞けるのではないでしょうか。長い目で見れば、怒られることは絶対プラスになることなのですからね。
とは言っても、怒られることに対して長い目で見ることができない人、前向きに捉えることができない人がと~っても多いのよね。
来週は、そんなちょっと困った人たちにスポットをあてて「怒られ方と、その捉え方」についてお話ししていきます。
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