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若手社員お悩み相談所 第3回

怒られるから懲りるのだ

怒られるから懲りるのだ

さて今回は前回の話にも出た「懲りる」ことについて、もう少し掘り下げてお話しをいたしましょうか。

人間、真に懲りないと何度でも同じ失敗を繰り返します、というのは前回のお話の通り。責任の所在を曖昧にしたままでは当事者が真に懲りない。真に懲りないと問題解決の道を自身で探ろうとする意志を強く持てず、また同じ失敗を繰り返す。このようなスパイラルに陥ってしまうからです。

では、「真に懲りるとき」とは、どういうときでしょうか。

はいは~い! 仕事と関係ない話ならいくらでもありますよ~。大好きなフライドチキンを毎晩毎晩食べていたら、3週間で3kg太っちゃった! とか。

俺も俺も! 海水浴で調子に乗って遠泳し続けてたら、お腹を冷やしすぎて急性胃炎でのたうちまわった! とか。

いや~、あのときはお腹を冷やしちゃいけないなぁと、しみじみ感じましたね。

ま…まぁ、仕事と関係ない場合なら、実際に自分が痛い目を見ることが一番「懲りる」ことにつながるんだろうな。

じゃあ、仕事ではどういうときに一番「懲りる」と思う?

う~ん、現場の人だったら直接身体にかかわる痛い目っていうのもあるでしょうけど…。

そうでない場合に一番「もう二度とするもんか」って思うのは、やっぱり先輩や上司にこっぴどく怒られたときかなぁ…。

そうですね。他人から怒られたり指摘をされると、「プライドが傷ついた」とか「みんなの前で怒られて恥ずかしい」など、嫌な思いをした分「もう二度とこんな思いはしたくない」と強く思うはずです。これが仕事上での「懲りる」ということなんですね。

人間、はっきり言われないと自分の欠点には気づきにくいものですし、怒られて懲りないといつまでも同じ失敗を繰り返します。

だから、言わなきゃ駄目なんですよ。怒らなきゃ駄目だし、怒られなきゃ駄目なんです。それが失敗と反省を繰り返し成長していく「教育」というものだと思うのです。

「最近の」…って括っていいのかわからないけど、最近の若い人には怒られ慣れていない人が増えてきたような気がするわね。

ちょっと怒られたくらいで逆ギレしたり泣き出したり、翌日から出社拒否、なんて人もいるみたいよ。

そうなんですよ。下手すれば「パワハラ」なんて言われてしまいますし、傷つきやすく精神的に脆い人が増えてきた分、私たちもどう怒っていいのか困っているんですよね。

泣き出すくらいショックを受けてしまう人もいれば、怒っても怒っても「嫌なことは一切聞きたくない」といった感じで全くの無表情、こちらの話を完全に遮断してしまっているような人もいる。

私たちおじさんには、若い人たちが「懲りていないように見える」だけなのか、そもそも「懲りる」ということを知らないのか、それすら判断がつかないのです。

え~! でも、怒り下手な先輩や上司もいるじゃないですか~。

何に対して怒ってるんだかわからない人もいるし、仕事の失敗じゃなくて人格そのものを否定するような言い方をする人もいるし、こっちとしては「なんで仕事以外のことまで言われなきゃいけないの」ってなもんで、理不尽な怒りまでは素直に聞けませんよ。

若い人たちのせいにばっかりしないでください~。

私たちおじさん世代は若い人たちへの怒り方がわからない、若い人たちは怒られた経験が少なく、とくに理不尽な怒りへの免疫がない。

おじさんたちが若い頃は、バカだなんだと口汚く罵られる経験なんてしょっちゅうでしたが、最近の若い人は学校でも家庭でも理不尽な怒りに触れることがあまりなかったのでしょうねぇ。社会全体が子供たちに対して腫れ物に触るように接している雰囲気すら感じられるくらいですから。

おじさんたちは、自分たちが怒られていたようなやり方が通じなくて途方に暮れているのですよ。

そんなこと俺たちに言われてもなぁ…。

こう…「愛を持って」といいますか、責めるのではなくあくまで間違いを正すのだということで、間違っている部分だけを論理的に言ってくれれば…多分…割と…聞くと思うんです…けど…。ははは。

「愛を持って」というのは、その人のためを思って本気で怒って欲しいということでしょうか。

「手加減して」とか「優しくして」という意味も込められているようですけどね。

しかし、そのどちらだって結構難しいんですよ。

え…? どうしてですか…?

例えば本気で部下のことを思って怒ったとしても、結局それは怒られる側、捉える側の問題です。相手に「理不尽だ」と思われたらそれでおしまい。こちら側の意図なんて関係ないんですよ。人間が相手ですから、こちらの本気が100%伝わるという保証なんてありません。

逆に優しく手加減したとしても、それでは懲りてもらうための効果が弱まってしまいます。本当なら加減をしなければしないほど相手が嫌な思いをするわけですから、それが「懲りる」ことにつながるんです。

それなのに加減をして懲りてもらえなければ、また同じことを繰り返してしまうでしょう? それでは意味がありませんしね。

むむむ…。難しいですね…。

まぁ、お互いの責任をどうこう言っても始まりません。

私たちとしては今の若い人に合わせた教育をしていくしかありませんからね。

最近は部下や後輩の指導方法として「コーチング」というものも注目されているようですし、おじさんたちも頑張っているんですよ。

教育のために、懲りてもらいたいから怒る先輩や上司。怒られて懲りることにより、同じ失敗をしないように学習していく部下や後輩…。怒り怒られる関係って大事なんですね~。

でも、今職場でこの関係がうまく機能しているところはどれだけあるんだろう…。

残念ながら上司と部下、先輩と後輩のコミュニケーションはどんどん希薄になってしまっているような気がします。

怒り怒られる、それひとつを取ってもうまくできない人たちが実に多いようです。

というところで、来週は「怒り、怒られることの効用」をもうちょっと深く掘り下げてお話していきましょう。

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