若手社員お悩み相談所 第13回
先日、大学時代の友人と食事をしたんですけど、そいつが「転職しようかどうか迷ってる」って言ってたんですよ~。何だか思い悩んでたみたいで…。
ほほぅ、転職ですか…。
それはまたどうして?
えっと…、もともとは自分の企画を営業できるような、単なる足で稼ぐ営業じゃない『企画営業』ができると思ったから入社したらしいんですよ。でも実際入社してみると、毎日お尻を叩かれて闇雲に新規開拓をさせられるばっかり。
営業成果も出ず、毎日上司に罵倒される状況にうんざりしてるんだって言っていました。小言社長なら、この友人にどんなアドバイスをしますか?
アドバイスですか? う~ん、難しいですねぇ。物事には裏表がありますから、あなたの友人の話だけでは何とも言いようがありません。
希望通りの企画営業ができないと言っても、もしかしたらまだ本人の企画自体が商売として成り立つレベルではないのかもしれませんし、会社側が企画営業をやらせる前の修行として訪問営業をやらせているのかもしれません。
営業成果が出ずに上司から罵倒されるのは、ビジネスの世界では当然と言えば当然のことです。結果が出なくても過程の努力などを評価して『よく頑張ったね』と褒めてくれるのは、授業料を払っている学校時代まででしょう。ビジネスの世界で期待できることではありませんね。
うー、それじゃあ友人の我慢が足りないってことですか? 転職するのは待って、もうちょっと我慢するべきだということでしょうか?
いやいや、ですからこれが難しいんですって。転職の結果は「した方がよかった」「しない方がよかった」「結局大して変わらなかった」と、大きく3つに分けることができます。
しかしいずれにしても、実際に転職を実行してみなければ自分がどの結果になるのかはわかりません。
でも、転職は後戻りのできない選択…。してみなければわからない、わかったときに後悔してももう遅い、何とも悩ましい問題なんですよ。
そりゃ確かに…。でも転職をしなければしないで、悶々としたまま毎日を過ごすことになるし…。要するに、転職しないと始まらないってことですか? いやでも、いざ転職して失敗しちゃったらどうするんだろ…。
う~ん、小言社長の言われるように、転職に関してアドバイスするって難しいんですね…。
あなたの友人のこれからの人生を左右するといっても過言ではありませんからね。
まぁ、仮に現状よりも良い条件の会社だと確信して転職をしたとしても、転職した途端にM&Aで他の会社に買収されてしまう、などというケースは今までも、そしてこれからもいくらでもあるでしょうし。
失敗するリスクなんていくらでも考えられますけどね。
うわ。そんなこと言われてしまうと、夢も希望もないんですけど…。
おやおや、ずいぶん落ち込むんですねぇ。
あなたの友だち想いはわかりますが、まるで自分のことのような落ち込みぶりじゃないですか?
え? あはは…まさかそんな…誤解ですよぅ…。
そもそも、転職するかどうかでこんなに悩むなんて、私の若かりし頃にはなかったことなので、今のこの転職の多さ、転職するかしないかを迷う社員の多さには戸惑いを覚えます。
へ~、小言社長がお若かったときは「入社した会社で一生働く」という一途な人が大半だったってことですか?
え?
あなたもデジセン商事で一生働いてくれるのでしょ?
えっ!? ええ…まぁ…それはその…当然じゃないですか~。あはははは~。
そうですか? 安心しました。
そうそう、私の若いときは「入社した会社で一生働く」という人の方が一般的でしたね。「転職する」という選択肢はあまりありませんでした。
もちろん、転職して大成功をおさめた人もいるわけですから、全く転職という選択肢がなかったわけではありませんが、現代ほど多く、当たり前のように行なわれていたことはありません。
そうなんだぁ。今の転職の多さを思うと、たった2、30年でずいぶん変わったんですねぇ。
本当ですね。今では社会人1年生にして早くも転職という選択肢があり、2年3年と経つと今度はヘッドハンティングという選択肢まで出てきます。
選択肢が多いということは、それだけ頭を悩ませるということですから、現代のビジネスマンの大変さはいかほどのものでしょう。
いやいや、同情すら禁じえません。
そうですか? 転職という選択肢がないということは、嫌なことがあってもずっと同じ会社で我慢しなきゃいけないってことで、そっちの方がかわいそうじゃありません?
さて、選択肢が「多すぎること」と「ないこと」と、果たしてどちらがより悩ましいのでしょうね。
来週は選択肢が多いことによる現代の転職の苦悩についてお話しいたします。
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