失敗!ビジネス文書劇場失敗!ビジネス文書劇場

失敗!ビジネス文書劇場 第4回

現場への、作業フロー改訂のお願い

現場への、作業フロー改訂のお願い

今回のポイント

  • 現場による納品進捗状況のデータベースへの打ち込み(反映)を、現在の週1からリアルタイムに変更したい。
  • リアルタイムの反映は、社長からの希望でもある。
  • 現場の負担は増えるが、大きな問題がないならフローを改訂したい。
現場への、作業フロー改訂のお願い
【失敗メール例】
※赤い下線のある箇所をクリックすると添削が見られます

メール件名:納品進捗状況入力作業変更のお願い

毎日の業務お疲れ様です。【1】

突然ですが、現場による納品進捗状況の打ち込みについてお聞きいたします。【2】

現在、社長からの希望もあり、【3】 納品進捗状況のデータベースをリアルタイムに変更するものにできないか検討しております。
そのためには、現場の皆さんに週1で行なっていただいているデータベースへの打ち込み作業を、毎日の作業に変更してもらわなくてはなりません。【2】
そこで、打ち込み作業を週1から毎日に変更することで何か問題点が発生しないかお聞きいたします。

データベースがリアルタイムに変更されるようになると、受注量に合わせた無駄のない資材発注が行なえるほか、効率的な生産スケジュールがたてられるようになります。製品の在庫数もリアルタイムで確認できるようになるため、在庫不足という事態も避けられると思います。【4】

現場の皆さんにとっては作業の負担増になるお願いで、本当に申し訳ありませんが、会社全体としてはメリットのあることですので、ご協力いただけたら幸いです。【5】

なお、この件に関してご意見、ご教授ございましたら【6】
遠慮なく【7】 ○○部××までお申しつけください。

以上、宜しくお願いいたします。

【1】毎日の業務お疲れ様です。

う~ん、「毎日の業務お疲れ様です」とは普段あまり使わない表現ですねぇ。

というよりも、全社員が「毎日の業務お疲れ様」に該当するわけで、現場の人間だけ、特定の人間だけが「毎日の業務お疲れ様」ということではありませんよ。

この文章ではそんな風にも受け止められるのですが…。

えっ! いやいやそんな。別に現場の人だけが「お疲れ様」という、そんな皮肉を込めたつもりはありませんけど…。

ええ。でも、受け手によっては皮肉と捉えてしまうかもしれません。メールで文章を書く際は、色んな立場の人のことを想像しながら書かないと。

文字はときに誤解を生みますからね。このように、微妙な言い回しは避けた方が無難でしょう。

▲この失敗文書例に戻る

【2】お聞きいたします。
【2】変更してもらわなくてはなりません。

「お聞きいたします」と言っておきながら「変更してもらわなくてはなりません」ときています。

質問かな? と思いきや、すぐさま命令ですよ。質問なのか命令なのか、聞き手に戸惑いを持たせないよう統一が必要でしょう。

▲この失敗文書例に戻る

【3】社長からの希望もあり、

ここは「社長からのご要望もあり」としたいところです。

希望に「ご」がついていないこともありますが、「ご希望」としても、社長の注文であることを考えると、ちょっと語感が弱々しく感じられますからね。

▲この失敗文書例に戻る

【4】思います。

ビジネス文書で「思う」という言葉は要注意。「思う」とは、「私は思う」と理解されてしまいますからね。

「私は思う」では、公的な文書の印象がなくなり、私的な文書の印象になってしまいますよ。

▲この失敗文書例に戻る

【5】ご協力いただけたら幸いです。

よく書きがちなフレーズですよね。

しかし、「幸い」という言葉は「やってもらったらラッキー」という感じがあり、語調としては弱いので使用する場合は注意が必要です。

▲この失敗文書例に戻る

【6】この件に関してご意見、ご教授ございましたら

「ご意見」という言葉は、聞いても必ずしもその通りにするつもりがない、という響きを持っています。「ご意見として承りました」という表現を聞いたことがあるかと思いますが、これにはちょっと不遜な感じを受けますね。下手に出たいのなら「この件に関して不明な点がございましたら」でいいのではないでしょうか。

一方、「ご教授」ではかなり下手な感じがします。この「ご意見」と「ご教授」が並ぶと、言葉のつり合いが悪いですよ。

▲この失敗文書例に戻る

【7】遠慮なく

「遠慮なく」って…この場合はむしろ現場に反発されることを想定しなければならない案件です。

現場の人が遠慮しないのは当たり前のことでしょう。

状況と合っていない言葉の使用ですね。

は~。状況に合わせて、言葉の持つ語感まで気にしながら書かないといけないんですね。社内なんだし別にいいじゃん、と思っちゃうんですけど。

社内だから何も気にしなくていい、ということはないでしょう。社内ですらできないことがお客様相手にできるはずもありません。

お客様相手に書くとき、いざというときのために、いい文章を書くトレーニングと思って取り組んでみてはどうでしょう。せっかくの機会を有効に活用しないともったいないですよ。普段から言葉に気をつけて書くよう習慣づけたいところです。あと、上記の文書は全体が冗長になっています。ビジネス文書は簡潔明瞭が基本中の基本、以下に小言流のメール文を掲載いたしますので、参考にしてみてください。

▲この失敗文書例に戻る

【小言流 メール例】

メール件名:納品進捗状況入力作業変更のお願い

週末に実施されている納品進捗状況入力作業を、毎日実施していただくよう検討しております。

入力作業が毎日実施されることにより、インフラも整った今、リアルタイムの納品進捗状況表を実現することができます。これはかねてより社長のご要望でもありました。
変更に伴い皆様の負担も増えてしまうことと懸念いたしますが、何卒私どもの主旨をご理解賜り、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

なお、変更に伴い懸念される問題点を、今月末までにメールしていただけるようお願いいたします。これをもって来月早々に社長に具申いたしたいと考えております。

以上

デジセン商事のビジネスマナー学習書籍・DVD 好評発売中!

Copyright © DIGITAL SENSE CO., LTD. All Rights Reserved.

PAGE TOP