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失敗!ビジネス文書劇場 第1回

受注した仕事を撤回する謝罪メール

受注した仕事を撤回する謝罪メール

今回のポイント

  • 明後日の納品は物理的に不可能。
  • 先方には明後日の納品が可能であると伝えてしまっている。
  • 応対した社員が頼まれた仕事に精通していなかった。
受注した仕事を撤回する謝罪メール
【失敗メール例】
※赤い下線のある箇所をクリックすると添削が見られます

○○会社 ××様

いつもお世話になっております。デジセン商事の○○です。
本日注文を承った販促用グッズ(3,000セット・明後日納期)の件でメールをさせていただきました。

誠に申し訳ございませんが、こちらの商品の明後日の納品が大変困難になってしまいました。 【1】 この製品は材料発注に1日、製作に2日を要する完全受注品であり、在庫を持っておりません。弊社も最善を尽くし明後日の納品を目指して全力で作業させていただきますが、【2】  作業の関係上間に合わないことも考えられます。誠に恐縮で申し上げにくいのですが、納品を4日後とさせていただくことはできないでしょうか?【3】  貴社には大変ご迷惑をおかけし申し訳ございませんが、何卒ご承諾いただけますよう、お願い申し上げます。【3】

今回の件はご注文を受けた者が作業工程に精通しておらず、また引継ぎが不完全であったため【4】 に、 不用意にご注文を承ってしまったこと【5】 が原因です。弊社の管理不行き届きによる【4】 ものと猛省しております。【6】

この度はこちらの不手際により貴社に多大なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。 今後はこのようなことがないよう、誠心誠意努めさせていただきますので、【7】 代わらぬご贔屓を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

敬具

【1】明後日の納品が大変困難になってしまいました。

「明後日の納品が大変困難に」と「明後日の納品は無理です」とは、どう違うのでしょうか。「大変困難に」という表現では「もしかしたらできるのかも?」という期待を先方に抱かせてしまうかもしれないでしょう?

どうやったって無理なものを、わざわざぼかして言うことはありません。むしろ、ビジネスでの曖昧さはトラブルの元ですからね。ハッキリと無理である旨を伝えましょう。

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【2】弊社も最善を尽くし明後日の納品を目指して全力で作業させていただきますが、

最善を尽くして全力で作業すれば間に合うのでしょうか?

私がお客様の立場だったら「じゃあ最善を尽くして間に合わせてください」と言いますねぇ。揚げ足を取られるような表現は使わないようにしましょう。

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【3】誠に恐縮で申し上げにくいのですが、納品を4日後とさせていただくことはできないでしょうか?
【3】何卒ご承諾いただけますよう、お願い申し上げます。

まず「申し上げにくいのですが」という表現はビジネス文書ではあまり使いません。

この場合は「誠に恐縮で申し訳ありません」とか「誠に申し訳ありません」で結構です。

そして「納品を4日後とさせていただくことはできないでしょうか?」「何卒ご承諾いただけますよう、お願い申し上げます」という表現ですが、もしお客様に「いやだ」「承諾しない」と言われてしまったらどうするのでしょう?

ええ~!? そんなひねくれたお客さんいるんですかぁ~?

中にはいますよ。

しかもこのケース、非は私たちの方にあり、お客様が悪いわけではありません。

お客様にとっては、注文を受けておいて「やっぱり無理でした」と言われているわけですから、それくらいの嫌味は言いたくなるんじゃないでしょうか。

そうかなぁ。【1】【2】も、こっちとしては申し訳ない気持ちを伝えるために、あえてぼんやりした表現を使ったつもりなんですけど…。

だって、こっちが悪いのに「できません」「無理です」なんてこと、はっきりキッパリ言えないじゃないですか。

そうは言っても結局のところ答えはひとつ、「無理なものは無理」ですよね。たとえお客様が「じゃあ全力でやれ」とか「承諾しないぞ」と言ったところで明後日の納品は無理なのですから。

この「よろしいでしょうか?」という表現は、「了承を得たい」というよりも「了承してくれ」、という意味合いを持って使われることの方が多いのではないかと思います。これは言ってしまえば「丁寧な丁寧な命令」です。もともとお客様には選択の余地がないのに、最後の決断をお客様にさせているのです。

そのとき本人にそのつもりがなかったとしても、後々問題が起きたら「あなたが了承したんですよ」「だから私に責任はない」と責任回避に使うことだってできます。用心深い人ならこの「よろしいでしょうか」という表現は言質を取られるように思うかもしれませんね。

うわぁ、めんどくさい…。

そのための曖昧さ回避ですよ。申し訳ないという気持ちは「誠に申し訳ございません」とストレートに表現して、伝えなくてはいけない事項は事実の通りにはっきりと書きましょう。

事実を伝えるための文章には、「申し訳ない」とか「心苦しい」といった表現のエッセンスは不要ですよ。

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【4】作業工程に精通しておらず、また引継ぎが不完全であったため
【4】弊社の管理不行き届きによる

その通りなのかもしれませんが…。

「この会社本当に大丈夫?」と思ってしまいますね。

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【5】不用意にご注文を承ってしまったこと

「不用意」とは「注意や用心が足りないこと」という意味を持ちます。

お客様に対して注意せず、用心せず接していたのですか? 真剣味が足りないように思われてしまうかもしれません。謝意を表す際には使わないようにしましょう。

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【6】猛省しております。

反省も、猛省も、口で言うなら誰にでもできます。反省の弁を述べることは必要ですが、では次回から二度とこのようなことを起こさないためにどう改善策を講じるのか、その説明が必要でしょう。

失敗の原因→反省の弁→改善策。この3つはセットで論じる癖をつけておくといいかもしれませんね。

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【7】今後はこのようなことがないよう、誠心誠意努めさせていただきますので、

いつもは誠心誠意で努めていないんですか? と言いたくなりますねぇ。ひねくれてる、と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、相手がひねくれていない、とも言い切れません。

それに【2】でも述べましたが、お客様はすでに少なからず不快な思いをしているわけですから、揚げ足を取られるような、思わず嫌味を言いたくなるような発言は控えた方が賢明ですね。

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では最後に、小言流の文書例をご紹介しましょう。

【小言流 メール例】

○○会社 ××様

いつも大変お世話になっております。デジセン商事の○○です。
この度は追加注文ありがとうございました。

しかしながら、追加注文いただきましたグッズが完全受注製品のため、納品は4日後となってしまいます。ご注文をお受けした社員が、○○様のお仕事なので何とかしなければという思いで承りましたが、最短で4日後の納品になります。

納品日の正確な確認をせず、○○様にご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。

これからもご贔屓賜りますよう、重ねてよろしくお願い申し上げます。

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