失敗!ビジネス文書劇場 第3回
今回のポイント
小護戸社長殿
平成○年△月×日
営業第一部 ○○○○
現在、我が社では会社全体をあげての行事というものがございません。【2】 つきましては、社員同士の親睦を深めるための社員全員参加による親睦会を、下記のように実施してよろしいか、おうかがいいたします。
記
1.実施日:未定(社長をはじめ取締役の方々のご都合をおうかがいし、決定いたします)
2.実施時間:午後18時半より2時間
3.会 場:○○ホテル、××の間 【3】
4.費 用:¥〓〓〓〓〓〓〓(社員200名×¥〓〓〓〓) 【3】
会の開催は私たちにとって大変意義あるものになると確信しております。 【4】 社長・役員の方々にも是非ご列席いただきたいと思います。 【5】
何卒、前向きなご検討をいただけますよう、【6】 宜しくお願い申し上げます。
以上
【1】社内親睦会の開催について
このケースの表題は『社内親睦会の開催について』ではなく、『社内親睦会開催のお願い』でしょう。
お金のかかることですし、何よりそのお金を会社に出して欲しいという要望なのですから、「お願い」という言葉を使って下手に出る場面だと思いますよ。社長の面子はうまく立てないといけませんね。
【2】ございません。
【3】3.会 場:○○ホテル、××の間
【3】4.費 用:¥〓〓〓〓〓〓〓(社員200名×¥〓〓〓〓)
最初から自分たちだけで豪華な仕様に決めすぎではありませんか?
こういったことは、お金を出す人に判断を委ねることによって謙虚さが伝わります。まずは親睦会開催のお願いをしてみて、それが了承されてから「会場はいかがいたしましょう?」と、下手に下手におうかがいを立ててみるのがいいかもしれませんね。
【4】会の開催は私たちにとって大変意義あるものになると確信しております。
よくよく考えてみてください。意義があるかどうかは、お金を出す人…今回のケースであれば社長が判断することではないですか?
少なくとも出してもらう人が使う言葉ではないですよね。あくまでも謙虚さが伝わるように、表現に注意しましょう。
【5】社長・役員の方々にも是非ご列席いただきたいと思います。
「是非」という言葉を使わなくても、このケースで社長・役員が出席することは当たり前すぎる当然のことだと思います。
当然のことをあえて文章にすると変ですね。
それに「是非ご参加ください」と、お金を出してもらう側が出す側を誘うのは不自然な感じがしませんか?
そう言われれば確かに…。お金を出す側、つまり社長からすれば「お前が言うな!」「なんでお前に仕切られなきゃならんのだ!」ってところですか?
まぁそこまでは言いませんけど、ただ単に社員同士の親睦を深めたいのであれば、社員全員がお金を出し合えば済むことじゃないですか?
…と皮肉のひとつも言いたくはなりますねぇ。
お金を出して欲しい、お金を出してもらうことが大事なのであれば、出す側の面子を立てるようにしないといけません。
面子ですか…。う~ん、難しいんですね…。
そうそう。
お願いする方とされる方では立場が全く違いますからね、相手の立場で考えて相手を不快にさせないような「おうかがい」の表現をしなくてはいけません。「おうかがい」の表現は案外難しいんですよ。
【6】何卒、前向きなご検討をいただけますよう、
社長はいつでも前向きですよ~。
前向きな社長に対して「前向きな」とは不要な言葉ですね。
無粋、ってやつですよ。
あはは、これはどうもすみませんでした。
さて、いかがだったでしょうか。最後に小言流の文書例をご紹介するのですが、私の場合はまず親睦会を開催したい旨をお願いして、概ね了解を得たあとに具体的詳細のお願いを出す2段構えにしました。それが社長の面子を立てることになると思いますからね。
では、2段構えのお願いの内『社内親睦会開催のお願い』の文章をご紹介いたしましょう。
○○社長様
社員一同代表
××太郎
社内親睦会開催のお願い
当社も業務拡大により社員数も○○○人に増大いたしました。現在のところ、社員一同に会する機会がなく、なかなか親睦を深めることもできづらい状況になっています。名前と顔が一致しない、顔すら記憶にないといったケースも出ています。
部署間の枠を越えてビジネスに取り組まなければならない時代になってまいりました。お金を出していただくお願いで大変恐縮ですが、社長、役員、社員一同に会して懇親を深める会を催していただきたくお願い申し上げます。
以上
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